災害に対し建築はどうあるべきか

2016災害に対し建築はどうあるべきか

先月の熊本での大地震。今後建築が抱える問題はさらに明確になっていくだろう。

100年に一度の大災害にいかにあるべきか?

熊本城の耐震設計は、今になればすばらしいものであったといえる。

揺れることに対し、重い瓦屋根が落ちて、地震力による揺れを軽減させていた。そのことにより建物は大きな損傷を受けずに済んだ。

もともと瓦屋根は重い。それは暴風雨に対し、建物が飛ばされない為でもあるのだ。そして瓦は地震時には落ちて地震力を逃がす。この発想も昔からあった様だ。

しかし、近年、防災瓦等の瓦を完全に屋根下地に固定するものが多くなっている。それはやはり台風では屋根瓦が飛ばされることによる被害を防ぐためだ。
だが、地震に対してはかえって建物を大きく揺らす原因になった。

また、昔ながらの伝統工法の木造の建物で基礎と上物の建物が固定されていない建物では、建物が基礎からずれることで地震力を建物へ伝えないようにしている。基礎から建物がはずれるが、倒壊はしないとうこともあった。

伝統工法の木造建築は 揺れる事で風や地震から耐えてきている。

したがって外壁や内壁等はもちろん壊れる。しかし、建物が倒壊しない設計を伝統工法ではやってきているのだ。

間違った補強が一番怖い。揺れを金物、不用意な筋交い等で無理やり抑えてしまうことだ。

昭和56年以前の建物に多いのはそこである。
しかも戦後の住宅不足が欠陥建物を多く生み出してきたのも事実だ。
そして住宅供給公社や旧建築基準法は、最低限の基準であり、そういった建物も事実倒壊してしまっている。

今後ますます、施工者はもちろん設計者の責務は大きくなってきている。省エネ設計も大事だが、今一度耐震、制震についてしっかりとした理解が設計者には望まれる。