【工事種別】 新築工事
【用 途】 事務所・サービスショップ
【構造規模】 木造 2階建て 474.47㎡
【竣 工】 2024年5月
【意匠設計】 トラス・アーキテクト株式会社
【構造設計】 株式会社ウッディストプラン/鎌田構造建築設計事務所
【施 工】 日本ガス住設株式会社/山佐木材株式会社
【造 園】 浦田庭園設計事務所株式会社
【備 品】 株式会社しんぷく
【サ イ ン】株式会社ブンカ巧芸社
【写 真】 写真:Yousuke Harigane/空撮:Seinosuke Kaneda
ーコンセプトー
鹿児島市吉野町に構える、ガス器具の修理・販売サービス等を営む企業の社屋である。発注者の企業は「地域に根差し,地域に愛され,地域に密着し続ける事ができる営業拠点」としての機能を目指しており、社屋に関しては地域性や環境配慮を重点とした計画を要望
された。エネルギーを扱う企業として地球環境負荷低減に率先する「地域のための建築」をコンセプトとして掲げた。地域の街並みに馴染む建築とし、周辺地域への圧迫感を無くすよう建物の最高高さを極力抑えた。地域に開くために前面道路に位置するバス停との一
体感を出す計画とした。ZEB を達成し一次消費エネルギー120%の削減を実現している。
地域の街並みとなる事務所
計画地である吉野町は、鹿児島市の中心部からおよそ車で15 分程の高台に位置しており、自然豊かな環境と歴史的文化を併せ持つ地域である。前面には鹿児島市内へ続く県道が面しており、ロードサイドには生活利便施設が立ち並ぶ吉野地区の主要な道路である。敷地は当初更地であった。桜島への眺望を確保するために敷地北側に寄せて建物を配置した。前面道路からセットバックすることで生まれた間の空間を「緑の庭園」とし、植栽に囲まれた空間はバス停の待合所としての機能と地域の人々が休憩できる居場所となる。植栽と格子により周辺への配慮と日射遮蔽も行う。
地域を繋ぐ屋根
建物は、1 階にショールームと事務所スペース、機器保管用の倉庫を持ち2 階には会議室と休憩室がある全体構成である。1 階はスパンに合わせてL 型に開口部を配置し、外周に沿って大きく屋根をかけている。地域や周辺の自然環境を包み込み、風景との一体感を生むことが出来た。1 階屋根は高さを抑え住宅街に馴染みのあるスケール感とし、36mm 厚の薄いCLT を鉄骨の梁と柱で受ける構造としている。柱の大断面から得られる安心感とCLTと鉄骨による薄さの対比で、より軽快なシャープさを感じる事が出来る。構造材はすべて鹿児島県産材で構成している。420 角の大径製材と横架材をホームコネクター接合で架構を構成した。大スパンは変化に対してフレキシブルに対応でき事務所としての機能性を確保しやすい。柱が空間のシンボルとなり大空間の木造オフィスを実現している。
地域のための建築、植物と水
建物のどこにいても、外へ視線が抜け植栽に囲まれた周辺の自然環境を感じる事が出来、地域を身近に感じる事が出来る。植栽に囲まれた道を蛇行して奥の入口へ誘われていく。雨水を敷地にためる蓄雨の計画とした。建物と敷地に降る雨を埋設したタンクに貯め植栽
へと還元している。都市の水循環に配慮しながら災害時の雨水活用もできる。
enefil 吉野が地域に根差し、地域と環境のための居場所であり続ける事を期待している。
(木元達也/トラス・アーキテクト)
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