アルベルゴ・ディフーゾ

日本建築家協会鹿児島地域会にてレクチャーがありました。今回は種子島在住でイタリアの建築家ジャンジャルロ・デ・カルロ事務所に勤務されていらした建築家岩下真奈美氏です。南イタリアの歴史的な風景や建築そして都市計画など、建築家ジャンジャルロ・デ・カルロ「歴史と共生する建築」を思想として受け継いでいる様なとても興味深いレクチャーでした。その中でも注目して面白いと感じたのがアルベルゴ・ディフーゾです。建築と都市計画さらに地域、豊かな地域経済まで建築家の出来る提案は日本にもたくさんあると感じます。

アルベルゴ・ディフーゾは分散型ホテルといわれる集落内の空き家をホテルとして再生し、レセプション機能を持つ拠点を中心にネットワーク化するもの。イタリアでは1980年代からあるが、それぞれの集落の伝統的な暮らしと自然環境をベースとしたサイクルツーリズム、ワイナリーなどのカリナリーツーリズム(食を軸とした観光)など個性的なアルベルゴ・ディフーゾが展開されている。太陽光などを整備したが登場し、ワーケーションなどでの利用も増加。滞在日数も伸びているという環境配慮型のアルベルゴ・ディフーゾもあるという。

【以下私の考察】建築をつくる前に歴史を知らなければならない、建築を考える前にその地域特性について知らなければならない。建築を学んできた人なら必ず叩き込まれた建築以前の思考の段階であり考察から始まる。日本においては一部の地域では美観地区や重要伝統的建造物地区などあるが、多くは戦争により焼失していまい、再建が始まったことからその勢いの市場原理主義的経済活動が優先されたことにより世界でもまれにみる経済発展と都市の発展があった。その際には歴史や地域性を問う建築家もいれば、そうでない経済成長の中での不動産主義的建築従事者が増えていたと感じる。気がつけば都市やまちの記憶というのは無くなりどこにでもあるコンビニ日本になり庶民にとっての便利大国であり、地域性を考えられなくなっていった。そんな中で育った次の世代が海外へと学び始めて日本に残った数少ない歴史や伝統に気が付き始めている。そこには経済成長だけではない豊かさを求め始めた背景もありそうです。

木元

トラス・アーキテクト株式会社
〒892-0819 鹿児島市柳町1-5-101A
TEL:099-295-0014
E-mail:info@truss-a.jp
公式LINE:@742cwmgj
Instagram : https://www.instagram.com/truss_architect/
truss architect/木元達也 note : https://note.com/trusskimoto